表紙にもどる since1997.11.15
■2003.1.31
午前中に会議が一つ、午後はあちこち走り回って、手配をする。セミナの宣伝方法をいろいろと考えてみる。できることから仕上げていくのが、効率的な仕事の基本だが、気になるとどうしてもそれを完成させたくなる。そこで引っ掛かると次に進めないのだ。帰り道、祖師谷まで出かけ、歯の治療を受ける。睡眠不足だと歯痛になることもあるそうだ。やっと来た週末だが、行事が詰まっているので、ぼんやりもできない。
■2003.1.30
セミナのために午前中に製作物を作り、午後からwebのセミナに出席する。渋谷駅からセルリアンタワーを目指した。渋谷のこちら側は、遠い昔、人と待ち合わせた懐かしい場所だ。日頃、一人だけで完結している話を、また違った角度から見つめ直すと、仕事のヒントがたくさんある。出版物もいくつか頂いて、収穫の多いセミナだった。渋谷から銀座線、丸の内線経由で帰って来る。これが千葉への最短距離だろうか。疲れたので、スパゲティを茹でて、海の幸トマトスープを作った。気分を変えることも大切だ。ZEPを聴きながら、夜を過ごす。ZEPはどうしてこんなにぴったり来るのだろうか。
■2003.1.29
風が冷たい。雨のない嵐のようだ。締切のある仕事をいくつか抱えて、綱渡りのような日々を過ごしている。ゆっくりとティータイムを取ることもできずに、一段落したらと思っていたら、もう四時だった。疲れているが、こういうときは軽い運動をした方がいいので、広尾まで歩く。十年くらい前にはタクシーを拾っていたのに、今は健康のために歩くことにしているが、気持ちがいい。だいぶ、日が延びて来て、外に出ても明るいのでうれしくなる。有楽町のJTBでパンフレットを配っていた。格安旅行の案内ばかりで、こちらも大変なんだろうと思う。あちこちに知り合いがいるので、旅立つことはたやすいが、気持ちがまだ付いていかない。なんの憂いもなく海外に出かけた日々が懐かしい。
■2003.1.28
朝、広尾でフランス語入門を聞きながら歩いていたら、向こうからやってきたフランス人が話している。講師の先生より、ずっときれいな発音だった。ああいう人に習ったら、もっと上達するだろうか。午前中に急ぎの仕事を終え、昼からセミナに出かけた。白金高輪から永田町まではとても近い。セミナ会場は結婚式でもやれそうな豪華版だが、内容はいたって平坦である。三回も出ていると内容が月並みに感じられるのかもしれない。データを扱うものとして、注意しようと思った。帰り道、半蔵門線に乗ったら、水天宮という文字が飛び込んで来て、小藤屋に寄ってしまった。ここのお煎餅は極上である。お天気もよかったし、今日はたくさん歩いた。身体を動かしているとほっとする。近くのお豆腐屋さんに寄り、具たくさんのけんちん汁を作った。まだ一週間が始まったばかりなのに、どこか週末気分がある。ZEPを聴いて、夜、寝る前にはキケロを読んで過ごす。
■2003.1.27
激しい雨が一日降り続いた。さすがに外を濡れながら歩く気にはなれなくて、新橋からバスで会社に着く。大江戸線ができたせいか、新橋のバス停は閑散としていた。新しい仕事がどんどん入って来る。先週の課題を完了させ、セミナの集客に知恵を絞る。やりたいことが分かっているのになかなか、そこにたどり着けない。こんな日は一日がとても短い。帰り道、品川でポンパドールに立ち寄り、パンを調達する。野菜が足りないので、今一つ料理に専念できない。イカとキャベツをXO醤で炒め、キャベツスープを作る。水曜日には車が戻ってくるから、買い出しに出かけよう。夜、キケロ選集を読む。カエサルと同時代の人の書簡集が今、読めるのも不思議だ。中身はいまでも通
ずる政治と権力、自分の立場、友人の弁護などが淡々と描かれている。
■2003.1.26
朝、図書館に行き、新刊コーナーから【異界談義 常光 徹】、【ヨーロッパ成立期の学校教育と教養 ピェール・リシェ】、【中世思想原典集成8 シャルトル学派】を借りて来る。その後、藤が丘に向かった。今日は鍋会があって、久しぶりに仲間内で集まる。あいなめをつみれにして、生ホタテ、牡蠣、名古屋コーチンも入れて、大きな鍋に一杯作り、10人で平らげてしまった。豪華な鍋と地下のスタジオで演奏付きのこの会は、いつも楽しい。個人の家にお邪魔して、好きなだけゆっくりできるのがいい。音楽の仲間たちは感性が似ているので、話が通
じるし、何を話してもうなづける。夕方、慌てて帰宅し、家族揃って食事をした。週末に日常とまったく違うことをすると、気持ちが変わる。
■2003.1.25
朝、目を醒ましたら九時近かった。いつも当たり前のように車で買い出しに行っていたのに、クラッチの故障で車屋に預けてある。車のない週末、それも予想していなかったので、喪失感が漂う。世の中に絶対ということはないのだから、何かに頼って暮らしていてはいけないのだ。さしあたり野菜をどうしようと惑う。夕方、そごうまで出かけて、鮮魚をたくさん仕入れて来た。猫用に豆鯵も手に入れた。こちらはデパートだけあって、ちょっと高いがそれなりの品質のものばかりだ。近くにデパートがあるのは頼もしい。デミグラソースが手に入ったので、特製ミートボールに挑戦する。牛ひき肉に玉
ねぎ、椎茸、生姜を細かく刻んだものを混ぜ、卵、パン粉を入れて団子を作る。これをフライパンで両面
軽く焦げ目をつけ、煮立ったお湯に落とす。白菜一個分も白い部分を主に切って入れる。後はデミグラスープとトマトスープ、赤ワインを注ぎ、塩胡椒で味を整える。ミートボールにじわっと味がしみて美味しい。たくさん眠ったので、さすがに元気だ。いつも午睡をするかわりに本(沙石集)を読む。鎌倉時代の人々が信仰に命をかけていた話や、神仏の奇跡を信じている姿に感動した。信じられるものがある人は幸いなり。また、貧しいが信仰のある若い女が幸せを掴む話もあって、人々の描いていた理想の世界がぼんやりと浮かび上がって来る。
■2003.1.24
昨日の夜、考えることがたくさんあって、なかなか眠れなかった。金曜日の朝はとても眠い。いつものように広尾から歩いて、外国人の親たちがナショナルスクールのバスを見送っているところを通
り過ぎると、フランス大使館と書かれたスクールバスとすれ違った。フランス語圏のために、また別
に学校があるのだろうか。ここの親たちはとてもこどもを可愛がる。個人主義が発達している国々なのに、外国に居るせいなのか、駅まで、あるいは学校まで同行する父親、犬の散歩を兼ねて息子と話ながら歩く母親など。毎日、同じように通
勤しているので、出会う人も同じだ。日本の家族はもっとバラバラに生きているような気がする。昨日の続きの仕事は、四時過ぎにようやく完了し、楽しい週末を迎えることができそうだ。帰り道、京急で買い物をして帰る。
■2003.1.23
午前中に課題に取り組み、午後は打合わせがひとつ。二つの仕事を同時にやっているのだが、始まりは違うのに終わりはなぜか揃ってしまう。夕方、会合に出席。ここのメンバは多彩
なクリエイターたちだが、尖っていなくて優しい人たちばかりだ。会議の終わりになって、ようやく活発な意見が出て来る。今年は何か形になるものを創りたいと思う。麻布十番から南北線で溜池山王、国会議事堂、東京経由で帰って来る。明日は金曜日。無事に仕事が終わるだろうか。
■2003.1.22
午後から品川で開かれたセミナに出席する。今年の方針など貴重な話が聞けてよかった。夜の懇親会をさぼって、いつもの電車で帰って来る。家族は戻っていなくて飢えた猫が二匹待っていた。読みたい本が詰んであるのに、時間がない。電気代の請求書を見て、厳寒の冬を再認識した。電気は控えめに使おう。通
勤のお供に哲学入門を読んでいるが、この学問はどの学者の説を読んでも主題が始まるまでがくどくて長い。当たり前のことを違う言葉で説明するのだから苦労もあるのだろうが、翻訳のせいなのかもしれない。
■2003.1.21
東京駅から有楽町まで歩いた。日射しはあるが風が冷たい。東銀座で新春の大歌舞伎を観劇。菊五郎の弁天小僧を見て、いつもながら江戸っ子の粋を感じる。玉
三郎の道成寺も狂気を含む翳りがあってよかった。一月に歌舞伎を見ないと物足りない気がする。帰り道、きむらやでバゲットやオリーブパンを購入。お天気がよいので、京葉線に乗り、海に夕陽が沈むのを眺めていた。通
勤時間の前なので、道も空いている。寒い時期に休暇を取ると、どこも空いていて楽しい。曾我物語を読んだ辺りから、鎌倉に行きたくなった。京都と違って、日帰りで小旅行が楽しめる。明日から行事が続いているので、こんな息抜きが必要なのかもしれない。
■2003.1.20
今日は大寒。このところ寒さが厳しいので、むしろ暖かく感じられる。久しぶりに混雑した電車に乗り合わせる。午前中にレポートを作成し、午後打合わせがひとつ。米国の知人からのメイルも届いていた。月曜日なのになんとなくのんびりしているのは明日が休暇のためだ。細かな手配を済ませ、品川経由で戻って来る。席が空いていなくて立っていたら、新橋で二人も降りた。電車で眠って帰る。昨日用意していた食事を並べ、夕食後、ゆったりと本など読んで過ごす。平日に息抜きできると、ずいぶんと楽だ。紀元前1世紀に書かれた書簡集を読みながら、ローマ時代を思う。
■2003.1.19
曇り空の中、館山に出かける。途中で小雨と出会うが、嶺岡山系を越えた辺りから晴れ間が広がり、安房の国は遥かに隔たっているのだと感じた。新年になったので、恒例の安房神社に参拝し、今年の破魔矢を買って来る。もう十年以上も続いているので、この破魔矢がないと寂しい。幸い今年はまだ残っていて嬉しかった。帰り道、隣にある野鳥の森の事務所に寄ってみる。すっかり新しくなって、立派な施設に変わっている。ここでバードウォッチングを始めたので懐かしい。波打ち際を車で走りながら、早春の南房総を満喫する。知人の家でメバルをいただいたので、煮付けを作った。帰り道、車の調子が悪くなって、なんとか家までたどり着く。千葉では雨が降り始めていた。食事の前にお風呂に入って、疲れを癒す。
■2003.1.18
晴れの日が続いている。お昼前、図書館に出かけ、【ものぐさ社会論 岸田
秀 対談集】、【世紀末シンドローム 海野
弘】を借りて来る。遅い時間に出かけた図書館は盛況だった。子ども連れの父親がいる。中高年の男性が多い。今年も不況だから、みんな近場に出かけるので都心の新しいビルや施設は賑わうだろうという予想がある。昔ながらの観光地の那須塩原や、箱根、熱海には行かないのだろうか。日帰りの旅なら、渋滞もなく、混雑しないところがいいに決まっている。余裕のない時代なのだ、人の心もお金も。午後、午睡を取る。夕食前にお風呂に入り、肉じゃが、白菜とホウレン草、油揚げ入りの味噌汁、サーモンのサラダを作る。読む本がたくさんあって、時間もあるのは嬉しいことだ。
■2003.1.17
いつもより早起きして、一つ前の電車に乗った。午前中、課題を済ませ、午後からようやく新しい仕事に取り組む。締切をいくつも抱えていると、精神的に疲れる。できることはすぐにやってしまおう。月曜日の会議のための資料作りと手配をする。金曜日なので、帰り道、品川の京急で買い物をして帰る。少し早めに会社を出たら、電車に乗っている人たちが違うのだ。好きな時間に帰れるのは有難いことなのかもしれない。しっかり働いた日は、料理も焼き魚のように頭を使わないものがいい。地鶏を蒸し焼きにしたタレに、里芋とコンニャクを入れて煮る。虎豆を豆のサラダと甘煮の二種に分けて作った。狂言集を読んでいて、これが室町当時の庶民の芸能だとしたら、ここに登場する大名も少しは真実を言っているのだろうと思った。昔から為政者は我侭を尽すのである。歌舞伎もそうだが、物語の背景を知れば知るほど、その奥にある真意が見えてくる。
■2003.1.16
朝、外に出たら零下3℃。今年一番の冷え込みなのだそうだ。いつも乗る電車がポイント故障のため運休になり、寒い中を次の電車を待っていたが、凍えそうだった。それでも広尾から会社まで歩いていると熱くなって来る。昨日やり残した仕事を片付け、知り合いにメイルを書く。四年前にレポートしていたUSの上司が別
の会社のCEOになって、今度来日することになった。再会もまた楽しい。外資の会社にいると、出会いと別
れになんども対面している。その中でも心に残る人たちがいて、たがいに連絡を取り、機会があれば会う。私の中ではずっと前からグローバルな世界で暮らしていた。通
勤のお供に狂言集を読んでいるが、これが楽しい。縁起をかつぎ、祝祭の彩りがあるもので、思わず台詞を口に出したくなる。
■2003.1.15
朝から課題に取り組む。気持ちを集中させ、アイデアを取りまとめなんとか完成した。余裕を持ったスケジュールのはずが、結構忙しい。今年の目標は、自分の時間を確保すること。ぼんやりできる時間をあちこちに作ろうと思った。曾我物語には名だたる武将たちがたくさん登場する。これをみる限り、頼朝という人は情けも分かり、頼もしい。側近が力を増して、源氏の兄弟を牽制したのだろうか。鎌倉から小田原、箱根にかけての街道が東海道となって、今のJR東海道線に重なる。この当時、武蔵国では、村山、日野、豊島、江戸という地名がでてくる。関東武士団というのはさしも強固であったのに、その将軍のお膝元で曾我兄弟のあだ討ちがあったのだから、大事件だったろう。仕事が忙しいと虚構の物語の中に逃げ込んでしばしまどろむ。
■2003.1.14
朝、会合のため、サンケイプラザまで出かけた。東京駅丸の内北口から大手町方面
に歩いてJAビルの手前だ。東京はとても広い。地下鉄が相互に交差し、JRもあって、初めての人ならきっと迷うだろう。その中で暮らしていると、当たり前のように思うことも、一歩、郊外に出てみるとこちらが本物だと思うことがある。いよいよ曾我物語を読み始めた。歌舞伎では何度も見ているが、その由来が知りたいとずっと考えていた。古典文学は、いまの時代に重ねてみると楽しい。サッカーを有名選手ではなく、審判の眼で見ることを教えてくれた人がいた。同じように古典を今に活かしてじっくりと噛みしめてみる。毎晩、ZEPを聴いて過ごす。
■2003.1.13
今日も晴天、お正月の休みより充実している。一歩も家から出ずに過ごす。借りて来た本を読み、午睡をし、また本を読むという読書三昧の日。書き手と読み手の呼吸のようなものがぴったりと一致すると楽しい。だが、なかなかそんな本には巡り会わないものだ。仮名草子には百物語のようなものが多く、当時の人々は妖怪変化とともに何気なく暮らしていたのだろうか。日が暮れると怪しいものが出るので、ここには夕暮れ前に去って、毎日通
っていますという茶店の主人の話しも当たり前のように聞こえる。電気が付いて、夜も昼も照明がある限り、そう違いはなくなった今、昔物語を見ると、遠い日本人の生活が透けて見える。夜、凝った中華料理を作り、金柑を煮た。
■2003.1.12
今日も快晴。高倉、君津まで食材の買い出しに出かける。三連休のせいか、下りの高速道路は木更津の出口付近で渋滞していた。刺身盛り合わせ、浅蜊の味噌汁、鯵の塩焼きと海の幸を満喫する。午後、本を読んでいたら、眠くなったので、午睡を取る。明日、もう一日休みがあるというのは嬉しい。夜もゆっくりと食事を取る。大豆を半日水に付けて、フライパンで炒るとこれが美味。素材がよいと、手をかけなくてもおいしい。
■2003.1.11
ゆっくりしていた目覚めたら八時半だった。ブルーベリーのベーグルを焼いて、カマンベールを載せて食す。九時過ぎに図書館に出かけて、【新編日本古典文学全集64 仮名草子集】、
【新編日本古典文学全集59 謡曲集】、【新編日本古典文学全集60 狂言集】、【新編日本古典文学全集52 沙石集】、【新編日本古典文学全集53 曾我物語】、【ハイデッガー全集 第27巻 哲学入門】、【渋沢栄一の経世済民思想 坂本 慎一】、【日本近現代文学の展開 槙林滉ニ著作集3】、【キケロー選集16】、【ひらがな日本美術史3 橋本治】を借りて来た。休みがあるので、全部読みるだろうか。古典は読みはじめると懐かしく言い回しも楽しい。晴天なので頑張って家事をし、夕方、ミラマーレにある景山に出かける。このホテルが新しくなって初めてのこと。中華は美味しかった。幹事クラスが集まって、次回の同期会打ち合わせをする。
■2003.1.10
明日から三連休が始まるので、忙しい。午後の会議のために材料を用意する。一時間と時間を区切って、タイムキーパもしたので、無事終了した。その後、六時半まで残って、課題を完成させる。プロジェクトのメンバが有能だと本当に頼もしい。次々と必要な手配がされて、こちらは何の心配もなくそれらを使うことができる。会社を出たのが六時半だが、接続よく八時前に戻って来る。週末はほっとする。レオナルド・ダビィンチについて書かれた本を読むが、作者の意図が今一つ伝わらない。偉大な才能というのは、それを評価できるには時間が掛かる。あるいは時代が彼を評価するとでもいおうか。久しぶりに夜更かしして過ごす。
■2003.1.9
新年が始まって、瞬く間に一週間が過ぎていく。木曜日の不思議な解放感。演劇についての本を読んでいたら、古代ギリシャやアグリジェントの遺跡が浮かんで来た。円形劇場は、はじめ山の斜面
の傾斜を利用して立てられたが、舞台を大勢の観客で見るとき、半円形があるほうが収容人数も増えるし、設置のための工事も容易だということで発達したらしい。だがヨーロッパでは、劇場という建物ができる前に、町の中心の広場で特定の時期だけ演劇が行なわれていたらしく、いまでもそのような広場が残っている。シラクサの円形劇場で猿之助の歌舞伎を実演できたら、すばらしいと思う。黒塚なんか凄みが出ていい。芝居は映画と違い、観客と同時進行で行なわれるもので、時間と空間を共有するところにその楽しさがあるのだ。芝居が好きというのは、一瞬の歓びがわかる人だと思う。毎日、ZEPのBBCセッションを聴いている。
■2003.1.8
昨年一年のレビューをして、今年の計画を立てることになった。組織が変わり、新しいメンバと仕事をすることになった。一年を振り返ってみると、毎日仕事に追われて成果
を出すことに注力していたが、プライベートでの交友関係があったから、なんとか続いたのかもしれない。変化のない生活にはすぐに飽きてしまうだろう。忙しすぎてもだめなので、その塩梅がむずかしい。無理のない範囲で積極的に付き合おうと決めている。広尾の散歩道は、外国を旅しているような気分で新鮮だ。安いチケットの案内メイルが届くたびに、ひとり旅に憧れる。二月のベニスはカーニバルがあるのだ。
■2003.1.7
寒い朝、広尾から会社まで歩くと暑くなって来る。外国人居住区の建物を眺めながら、フランス語会話を聴いて過ごす至福なとき。休み中、歌舞伎の台本に浸っていたので、自然に江戸言葉が口をついて出てくる。たとえば、向こうから歩いて来る人に似合いそうな着物を着せて、その会話を想像してみると面
白い。たくさんのメイルを消して、INBOXがやっと見渡せるようになった。頼んでいたCDも届き、新しい仕事が始まる。帰り道、夕暮れ時がまだ明るいのでうれしくなる。ナショナルストアでカードを作った。ここの珍しいパンを買って帰るのが習慣になりつつある。銀座、品川、渋谷、広尾と美味しいパンを求めて歩き回っている。夜、閉館前の図書館に滑り込んで、【ヨーロッパ演劇の形 安藤隆之・玉
崎紀子】、【レオナルド神話を創る A・リチャード・ターナー】を借りて来る。夜、ZEPのBBCセッションを聴くが、DVDで見た印象が残っているので、演奏風景が浮かんで来た。30年たってなお新鮮な曲創りというのがすごい思う。
■2003.1.6
早起きして、朝焼けを見ながら会社に向かう。1月から年度が始まるので、新年はすべて新しいものを用意しなければならない。年末にUSに頼んでいた案件は無事進んでいてほっとする。一日レポートを作り、年度末、月末の分析をしていた。家にいるのとは違い、あちこちの脳細胞を酷使し、報告書をまとめあげる。休み前は気ぜわしく過ごしていたのが、もう新しい年が始まっていて、遅れないように走り続けている感じだ。一月は約束も予定もたくさんあって充実している。職種は違うが、気のおけない友だちがたくさんいるので、ぼんやりしている暇はない。今年のキーワードは、人間ネットワーク。機会を見つけて、すてきな人にどしどし会おうと思った。
■2003.1.5
野菜を買いに高倉、君津まで出かけた。まだ、正月休みなのか種類は少ない。金柑が手に入ったので、甘露煮にする。金柑500gをよく洗ってへたを取り、縦に数カ所切り込みを入れてひたひたの水で煮る。沸騰したらそのまま五分置き、ざるに開けてさっと洗う。楊子で切り込みから種を取る。全部取れなくてもよい。次にまたひたひたの水に金柑を入れて、今度は蓋をしてあくを取りながら20分煮る。そこにグラニュー糖75g、ざらめ150gを数回に分けながら入れ、水の量
が半分くらいになったら、お酒を大さじ1杯いれ、また弱火で煮る。最後にレモン半分を輪切りにして入れ、またざらめを足す。出来上がりは金色のつやつやしたもので、とても初心者が作ったようには見えない。ぶりのあらが手に入ったので、ブリ大根にする。こちらは大根を先に茹で、その茹で汁をブリにかけて、余分あぶらを取る。ブリのあら500g、大根一本、みりん150cc、醤油150cc、出し汁400cc、砂糖大3、生姜ひとかけ、それを圧力釜に入れて、8分圧力をかける。後は、蓋を替えて、煮込む。大根が味わい深い。家にいて、家事をし、のんびりと過ごした。明日からはまた戦場である。
■2003.1.4
渋谷の美容室に出かけ、帰り道、銀座に出た。まだ正月休みが続いているのか、開いている店もまばらだ。あちこち歩いてようやく博品館で昼食をとる。ここもお値打ち価格だった。いつもは溢れているに外国人観光客の姿はない。晴れ着を着た人を探したが、渋谷にも銀座にもいなかった。不景気な年明けという言葉が頭に浮かんで来る。デパートはどこも混んでいたようだ。東京の盛り場は年末も年初めもあまり代わり映えがしない。お正月という行事は田舎の方が整っているということか。夕方、和風ビーフシチューを作る。ジャガイモの代わりに大根を入れて圧力なべで調理する。夜、ELPのDVDを大画面
で見た。途中、邪魔が入るが、映像的に色が入っているので、最後まで忍耐強く見続けた。ZEPと較べると可哀想なくらい編集されていて、それも彩
色のやり方が稚拙だ。生の映像テープがロンドンのどこかのスタジオに眠っているのではないかと、以前真剣に議論したことがある。夜、映画を見て過ごすのも今日が最後かもしれない。
■2003.1.3
家に籠って、本を読み、午睡する。朝食後、ZEPのDVDを大画面で見た。家族がいるので中音響くらいにしかできないが、それでも迫力が違う。ロバートプラントやジミーペイジの若くてしなやかな仕種に、人気が出るのは当然だと思った。いまどき、これだけ格好いい人もすくない。音程を外すのさえ愛嬌で見ていられる。午後、晴れているのに粉雪がぱらつくのを見た。夕方から本格的な雨になって、激しく降り続く。お節にも飽きたので、海老に紹興酒をかけて、酒蒸しにする。その汁を入れてチンゲンサイのスープを作ったら極上の味。中華料理に紹興酒は使える。一晩、ポットに浸けた置いた小豆を煮て、お汁粉にする。時間に追われることがないので、好きなことだけしている。明日は外出する予定だ。
■2003.1.2
快晴。ようやくお正月らしい朝を迎える。弟一家が遊びに来るので、鮭ちらし寿司を作った。飯台に広げ、紫蘇の代わりに山椒の若芽を飾って彩
りにする。お代わりして食べてくれたのでほっとする。お節料理で、栗の甘露煮と、イカとホタテのマリネが好評で売り切れてしまった。お重に新たに、ハムやスモークサーモンを詰め直す。食材がすでに用意されているというのは、こんなに気軽なものかと驚く。夕飯は洋風仕立てのスープに焼いた餅を入れて完了。後は、適当にお重から選んで並べるだけだ。夕方、大画面
でバングラディシュのコンサートを見る。ジョージが亡くなったことは哀しいが、彼なりに輝いていたときの記録が残っているのはすばらしい。寒さが続きそうなので、お汁粉の用意をした。
■2003.1.1
朝起きたら、小雨が降っていた。家族を起して新年の食事。昨日用意した料理があるので、一日のんびりと過ごす。図書館で借りて来た歌舞伎の台本を読みながら、猫を相手に午睡する。完全な休息は望めないものの、好きなことだけしていれば一日過ごせるのはありがたい。海外で過ごす年末年始もあるが、ここ数年は自宅に籠っている。一人になれる時間があるので、日頃できない課題に挑戦。自分の持ち時間はあとどれだけあるのだろうか。今年も友だちに支えられて、多くの行事に参加するだろう。ネットワークというものは本当に大切だと思う。会社と個人の生活を両立させないと、人間的幅がでない。そして、新しい出会いに期待しよう。一年の始まりはたくさんの慶びに溢れているような気がする。
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