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■2001.6.30
土曜の朝、小雨が降っていた。ELPの展覧会の絵とZEPのニューヨークツアーのDVDを見ながら一日過ごす。
なにも頭を使わず、時間が過ぎて行くのも分からずに、好きな曲を繰り返し聞きながら幸せに浸っていた。LPレコードでしか聞いたことのないアーティストが、曲を演奏しているのだから信じられない。前にも書いたが、70年代のアーティストたちはみな美しかった。才能があってハンサムなのだから、夢中にならない方がおかしい。
展覧会の絵をライブで見られるなんて感激。グレックレイクの天使のような歌声に魅せられる。73年といえば、わたしがロンドンに行く前の年だった。ジミーペイジはまだ細くて可愛い。昨日からずっと70年代にタイムスリップして暮らしているようだ。庭に出て、植木鉢で作った茄子を収穫した。二個を焼き茄子にしてたべたら美味。おかけで図書館に行くのも忘れてしまった。もう六月もおしまい。
■2001.6.29
週末までに仕事の段取りをすませ、三田に向かう。同級生が集まって、おいしいお寿司を食べる会に参加。今回は、イタリア文化論とバーゼルの市立美術館、洋画家の作品の傾向について、古植物の採取にカナダに出かける話など、話題が豊富にあった。いまはそれぞれに活躍しているが、かつて隣に座って授業を受けた仲間だと思うと楽しい。今度絵画教室を主催しようと画策している。
■2001.6.28
締切りに追われて、久しぶりに残業した。七時過ぎは電車も人が並んでいる。イタリア史を読みながら、なんと勢力争いに明け暮れている人々だろうかと呆れる。十六世紀には都市が一つの国家であり、他者を隷属させるか、婚姻で親戚
になるしかない。それが今、各地方独特の文化を作り上げているのだとしたら、統一国家としての意識はあるのだろうか。サッカーの試合を見ていると当時の模様が再現できるのではないか。疲れて帰って来て、アマゾンから届いていたELPのライブを見る。[石をとれ]の懐かしいメロディがどうやってつくり出されるのか、見ていて飽きない。週末が楽しみだ。
■2001.6.27
午前中に手配をすませ、午後Adobeセミナに出かける。ラフォーレミュージアム六本木は南北線の六本木一丁目からすぐだった。新製品は機能がたくさんついているが、そこまで使いこなせない。帰りは神谷町に出て、東京から帰る。暑い一日だった。持っていったペットボトル500mlが空っぽになってしまった。夏はもうそこまで来ている。夏休みの計画を立てなければ。明るいうちにひと風呂浴びて、庭の草木をチェックする。高倉の百合は気高く、香り高く咲き誇っているし、茄子もいよいよ重たげ。木の芽和えに使う山椒の葉は、立派に繁っている。植物が身近にあると、ほっとする。二匹の猫は暑さに参ってへたっとしていた。ZEPを聴きながら、今日は早寝をしよう。
■2001.6.26
東京駅オフに参加。このメンバはいつ会っても発見がある。この間、京都で会ったばかりなのに話しが尽きない。大人になってからの友だちのほうが長続きする。相手に対する気配り、共感、好奇心などが無理なく出せて、自然体になれるのだ。会社とは別
なところに仲間を作っておくと楽しい。締切りに追われる仕事をしていると、ほっとするひとときが貴重だ。相手との会話の中で自分の大きさが分かる。帰り道、ホームライナー千葉に乗った。錦糸町、船橋、津田沼、稲毛と停車して500円。これを贅沢と思うか、習慣にするのか、悩ましいところだ。
■2001.6.25
夜になってもまだ蒸し暑い。いよいよ夏の到来か。amazonでELPとZEPの73年版DVDを注文する。ひと昔のLDに較べると半額以下、場所はとらない、好きなところから再生できるといいことづくめ。仕事の空き時間に頼めるのもありがたい。帰って来たら、先週頼んだ廣末保の著作集が届いていた。小金井喜美子の書いた明治の暮らしぶりを読んでいると、学問が大切だと親が子どもを励まし、また行き届いた躾をしていることがよく分かる。中流の暮らしがつつましく、子が親を尊敬して、兄妹が助け合って生きいてる昔の日本が透けて見える。いつから変わってしまったのだろうか。物がなかった時代のほうが本当の豊かさがあったような気がする。
■2001.6.24
今日も六時には起きていた。ZEPのプレゼンスを聴きながら、書類の引出しを片付ける。ふだんのんびりと暮らしているので、たまには整理も大切。ホットケーキを食べた後、高倉、君津まで出かけた。西瓜、とうもろこし、カボチャなど夏野菜が並んでいた。蕗を甘く煮て、インゲンのサラダ、カブとキュウリの浅漬けにしようと、献立が次々と浮かんで来る。久しぶりにスパゲティを茹で、採りたての野菜を並べてイタリア風サラダを作る。午後陽が差して来たので、平和公園まで墓参に出かけた。緑が目にしみる。本を読もうと広げたのに、読む暇がない。まだ明るいうちにお風呂に入って、休日ってすてきだと思う。
■2001.6.23
休日だというのに六時半から起きてしまった。梅雨の晴れ間は貴重なのでZEPを聴きながら洗濯。九時になったので図書館に出かけた。いつものように新刊コーナーだけ見て借りる。【森鴎外の系族・小金井喜美子】、【体系日本史叢書22 思想史1 石田 一成】、【イタリア史第1・2巻 F.
グィッチァルディーニ著】、【翻訳の国のアリス 楠本君恵】。新刊というだけで気に入った本を借りていると知らず知らず勉強になる。アリスの原作を探していたら、レコードが聴きたくなった。LPレコードの棚から取り出してタルカスを聴く。裏面
をひっくり返して続きを聴く贅沢。昔はLPを買うのにお小遣いの大半を使っていた。 それだけに取扱いも注意しながら、貸すのも気に入った人だけ。そんなことを考えながらELPを聴くと、休日気分を堪能できる。茄子の苗がようやく育って小さな実を付けた。もったいなくて食べられない。しょせん観賞用の茄子の鉢らしい。
■2001.6.22
午前中、細々とした仕事をすませ、東京フォーラムで開かれているセミナに出かける。パネリストに知り合いがいるので、挨拶して新しい名刺を戴く。広いようで狭いのがこの業界だ。仕事の仲間で気のあう人は、なんとなく知り合いになっている。政府は2005年までに全国4000万世帯にブロードバンドの常時接続を構築するといっているが、それが可能なのかはともかく、ブロードバンドで何ができるのというのが素朴な疑問だ。CD
650Mがわずか51秒でダウンロードできるという。これにより途切れることのない映画の配信やニュース番組が提供されるというが、それをみる時間のあるのはだれか。インターネット常時接続が始まって、TVを見る時間がなくなった。本はかろうじて読んでいる。映画を家庭で見られるようになっても週末くらいしか楽しめない。好きな音楽番組があれば毎晩見るかもしれないが。
■2001.6.21
午前中に会議がひとつ、午後は飯田橋までセミナに出かける。白金高輪から南北線で一本。こんなに楽でいいかしらと思うくらい、地下鉄が開通
して便利になった。webのログ分析の講座を受けたが、冷房の潤沢に効いている部屋でアイスコーヒーが出されたのには参った。帰って来てからバングラディシュのコンサートのDVDを観る。全盛期のジョージ・ハリソンを見つめながら、若々しいエリック・クラプトンやボブ・ディランが登場するたびに、この時間をずっと凍結できたらいいのにと思う。ニューヨークのマジソンスクエァ・ガーデンなんて一生に一度でいいからこの目で確かめたいとずっと思っていた。60年から70年代にかけてのニューヨークは、麻薬の売人と売春婦しか住めないといわれた時代だ。自分自身はもう高校生に戻りたいとは思わないが、あの時代にタイムスリップしてみたい気がする。赤ワインを飲みながら、ZEPを聴いて一日の締めくくりとする。
■2001.6.20
締切のある仕事を終える。ほっとする間もなく、次のことが待っていて走らされる。まわりが加熱してくると、その人の本質がよく見える。逃げ込める趣味を持つ人は幸いなり。音楽でもスポーツでも読書でもいい、仕事以外に熱中するものがないとバランスが取れない。こんな夜はZEPを飽きるほど聴いて過ごす。メロディがもう身体の一部になってしまったかのようだ。時折、自分で演奏しているような錯覚に囚われる。黄金の70年代を過ごしたものに取って、70年代の音楽シーンは何だったのだろうか。回想するには若すぎる、でも中年だとは認めたくない。
■2001.6.19
7月に行なわれるセミナの件で、社内を駆け回る。プログラムを見直し、教室の確認をする。知り合いが訪ねて来たので、資料を持っていってもらう。人がいて、仕事があって、忙しくしているとすぐに一日が終わってしまう。早朝しか考える時間が持てない。帰ってくると仙台からサクランボが届いていた。高価な果
物を次々と貰い、生活の彩りにしている。君津の農協で買った百合の蕾はピンク色、もうすぐ開花しそうだ。茄子の苗は花が咲くだけで実が生らないが、こちらも観賞用と思えば諦めがつく。都会の中で自然に親しむのは、意図的に努力しなければいけない。カナダで過ごした森の中の家が懐かしい。
■2001.6.18
梅雨の晴れ間は、真夏のように暑い。それでも夕方には風が出て涼しくなっていた。パリの随筆を読み終え、フランスの中にパリがあるのではなく、世界の大都市としてパリ、ローマそしてロンドンがあるのだと思った。芝居と音楽会、美術画廊、古本屋、美食と高価な衣装。パリを訪れるには十分なお金が必要だと書かれてあったが、貧しい学生にはその魅力の半分も分からないだろう。夏のような日は刺激的な食べ物が欲しくなる。春雨、韮、絹さやをスープにして、XO醤とコンソメキューブで味付けしてみた。よく熟れたトマトを冷たく冷やして、赤カブ、インゲン、ジャガイモなどと彩
りより並べる。鮮やかな季節の変化があるから食卓も愉しい。今夜もZEPを聴きながら過ごす。
■2001.6.17
午後は晴れという天気予報を信じて洗濯を済ませ、館山に向かう。途中、鴨川に寄り野菜を購入。新鮮な野菜が安く手に入るのは嬉しいことだ。館山の知人宅でお茶をごちそうになり、びわまで頂いてしまった。おどやで鮮魚や海産物を求め、千倉の鰻屋まで白焼きを買いに行く。海辺の町は景色もすてきだが、食べ物が旨い。いつもの店で昼定食を食べ、三芳村で縁付きカーネーションを買って帰って来る。毎週出かけていたのが、一月に一度になってしまったが、それでも馴染みの店がたくさんあるので居心地がいい。天候のせいか、道が空いていた。帰ってから、千葉市市長選の投票に出かける。
七時から二十時までの投票時間で、はたして人を集められるのだろうか。
■2001.6.16
朝、予約していた白山の美容室に寄り、最短記録のニ時間二十分で完了する。時間ができたので、近くでとんかつを食べ、竹芝桟橋で開催されているセミナに出席した。司会の田丸美寿々さんは若々しい。シングルのパネラはみな若くて驚く。一人で生きていることは緊張があり、老いていけないということか。東京という町にはさまざまな顔があるが、同じ日のこの時間、セミナ受講者とトラサルディの特別
セールに並んでいる人がいた。わずか10メートルも違わないのに可笑しい。浜松町はモノレールの始発地点でもあり、また海に向かっての入口でもある。竹芝からは東京タワーがとても大きく見えた。これも気が付かなかったことだ。
■2001.6.15
今日は千葉県民の日。早起きして、県立美術館に向かう。ジャポニスム展と期待していったが、少し彩
りに欠ける。日本的な構図、線描などが西洋人に与えた影響は大きいと思うが、それだけを取り上げても物足りない。同じ頃、伊万里焼きなども西洋に輸出されたのだから総合的な芸術鑑賞がしてみたいと思った。帰りにポートタワーに上ってみる。雨が降っていたが、高いところから見下ろす景色はなかなか興味深い。残念ながらうちは大きなビルに阻まれて見えなかった。お昼に市内の老舗レストランでランチをいただくが、量
が多いのと、組み合わせが似ていたのでちょっとがっかり。
■2001.6.14
今日は会議がたくさんあった。同僚に仕事のやり方を教え、打ち合わせに出かけ、ばたばたと一日過ごす。本当はもっとゆっくりと仕事したいのだが、何かしら事件が起こって楽しい。帰りに京急品川に寄り、明日から休暇なのでポンパドールで珍しいパンを仕込んで来る。休みの日に美味しいパンで目覚めるとそれだけで、幸福だ。読む本はまだあるのに、amazon.co.jp
から案内が来ていたので、廣末 保の著書を頼んだ。取り寄せなので届くのかまだ分からない。
■2001.6.13
遠くで雷の鳴る音がする。さっきまで雨が降っていたはずなのに、外は静かだ。会社で仕事をして、家でゆっくりと食事をすると、ほっとする間もなく寝る時間が来てしまう。ここにいると一週間がとても早く過ぎていく。会社で夏休みの話題が出た。もうそんな時期。不況のせいか、航空券は欧州よりアジアの国が高かったりする。館山に代わる隠れ家がほしい。電話もTVもネットもない生活は素敵だ。いずれ退屈してしまうだろうが、本を読み、詩を書くことができる。
猿之助の対談は面白かった。歌舞伎という伝統芸術を通して世界の向かう窓を見つける。小泉マガジンを申し込む。
■2001.6.12
今日も涼しい。新しい仕事の種蒔きに出かけ、知り合いと情報交換する。会社に仲良しがいるのはよいことだ。子どもの頃考えていた将来とは、かなり違う人生を歩んでいる気がするが、未来なんてそんな不確実なものかもしれない。ZEPを聴きながら過ごす夜があって、足りないものは何もないはずなのに切ない。休暇の後に、少し時間があって、考えることが多い。日本で暮らすことは、当たり前のようで偶然なのだ。鹿の代りに猫二匹と暮らしている幸せ。
■2001.6.11
久しぶりに会社に出て、まずメイルチェック。とりあえず席があってよかった。ひとり旅はみんなの憧れらしい。女ともだちからいろいろと聞かれる。カナダでの日々に較べて、余りにも違うが、ここがわたしの生活する場所。東京で狂いもせず、淡々と暮らすには年季がいる。レポートを作り、まとめをして一日が終わる。電車の中で一冊の本が読めるくらい遠距離通
勤を楽しみ、降り出しそうな空を眺めて帰ってきた。国際都市にはそれにふさわしい楽しみがある。閉じこもってばかりではつまらない。マイレージの報告書が届いていたが、また旅ができそうだ。
■2001.6.10
日曜日は恒例の野菜の買い出し。高倉、君津とはしごして、新鮮な野菜を求める。スモークサーモンが食べきれないので、知り合いの先生に届ける。仕事をもった高齢者は生き生きとして若々しい。今日も生春巻きをいただく。材料は、長ネギ、キュウリ、ハム、とり肉、もやし、春雨などにXO醤ベースのたれを浸けていただくと美味。本物は海老をふんだんに入れるのだが、これはとり肉で代用できる。午後、蜜柑ゼリーを作ったり、蕗を煮たりして過ごす。だんだん日常生活に戻していかないと、一週間が持たない。もっと本が読みたかったが、気持ちをうまく集中させることができない。今日もZEPを聴く。
■2001.6.9
土曜の朝はホットケーキを焼いてもらい、買って来たメープルシロップをかけていただくと本当に美味。もっとたくさん買ってくればよかった。晴れているので洗濯をする。ZEPを聴きながら家事をするのは最高。図書館に出かけて、本を借りて来る。【マグナ・グラエキア G.
R. ホッケ著】、【ヘッセからの手紙 混沌を生き抜くために】、【私のパリ・河盛 好蔵 私の随想集 第一巻】、【堀田善衛全集1】、【夢みるちから スーパー歌舞伎という未来】。お昼はベトナム生春巻きを作る。中に挟む具を工夫すると、かなり楽しい。夜はベトナムから一時帰国した同級生を囲む会。昨日帰って来たばかりなのに、千葉なので元気に出かけて行く。五時間くらい話をするがまだ足りない。十二時前に帰宅するため、慌てて帰る。同じような境遇の仲間がいて、自然な話ができるのは貴重だ。
■2001.6.8
午後三時半に成田到着。家族が迎えに来ていたので、そのまま車で家に向かう。途中、食料を調達して、五時には自宅に着いた。思ったより暑くないし、気持ちがよい。カナダから送ったスモークサーモンが届いていた。スーツケースを開けて、荷物を出す。夕食のときは疲れていたので食欲がないが、それでもイカの刺身、鰹のステーキなど日本の味を満喫する。時差のせいで身体はとろけるように眠い。夜中に何度か目が覚めてしまった。
■2001.6.7
明け方ドアの近くの足音で目が覚める。そっとドアを開いてみるとクイックチェックアウトのための請求書が差し込まれていた。このホテルは常連のために、特別
料金が設定されているが、その分、人出をかけない工夫が随所にある。昨日の夜食べたレストランで朝食を取り、中華街で買ったアメリカンチェリーを頬張る。九時半のシャトルバスで空港まで向かい、チェックインを済ませるともう後はすることが何もない。今回はDFSにも寄らなかったし、ブランド品も買っていないので荷物も行きのまま、こんなシンプルな生活は快適だ。飛行機は定刻どおりに出発する。
■2001.6.6
有名なパンケーキ屋で朝食。だんだん、大きさが小さくなるような気がするが、味は悪くない。ホテルに戻って今日の予定を確認する。38番のバスにひたすら乗って、33rdで18番のバスに乗り換え、美術館に向かう。途中、ハイスクールや大学がある路線なので、本数も多いし、ニ台分連結されている。
美術館のある場所からゴールデンゲートブリッジが見えて感激。中はフランス絵画が中心で、アメリカ人のフランスに対する夢を実現したような場所である。絵を見ていたら、無性にパリに行きたくなった。ホテルに一度戻り、お昼を兼ねて中華街に向かう。ここのお茶専門店でウーロン茶の新茶を買った。香りがいいし、味も新鮮。45番のバスでユニオンスクエアーに戻って来て、周りを散策。ブルノーマリやエルメス、ローラアシュレイなど潰れていた。代りにGAPやリーバースが並んでいる。美術ギャラリーが軒並みあって、お金持ちは洋服や貴金属を買う代りに絵を買うようになったらしい。
■2001.6.5
空港まで送っていただいて、十時のバンクーバー行きに乗る。飛行機で同席した日本人のツアー客はビクトリアにもう一泊したかったと言っていた。五泊もできたわたしは幸せ者。サンフランシスコ行きが途中、雷雨のため遅れて二時間半空港で待たされる。カフェテリアでターキィ入りベーグルを食べて腹ごしらえ。Macを広げて旅行記を打ち込む。三時に飛行機が出発して、サンフランシスコに五時に到着。バンクーバーで入国審査は済んでいるので、すぐに荷物も出て来る。教えられたシャトルバスに乗ると、乗客はわたしひとりだった。これで12ドルは安い。着いたら中華街に行こう思っていたが、帰りが遅くなるので近くを散策。昔行ったことのあるレストランは見事に潰れていた。こういうときの原則としてホテルの反対側を探すと、洒落たイタリアン・レストランを見つける。朝からまともな食事をしていないので、ゆっくりとした気分でディナーをいただく。
■2001.6.4
上天気の中、バスの乗り方と路線図を教わって、ひとりでダウンタウンに出かける。メインストリートを一通
り歩いて、地元のコーヒーショップを見つけてお茶にする。スターバックスはここにも進出していて目立つ場所に三つもあった。小さいがチャイナタウンもある。本屋さんで町のガイドブックを買って研究する。ブリテッイュコロンビアの州都なので都市機能は揃っているが、ブランドショップは皆無だ。GAPがあるくらい。アンチックショップはいくつもあって、覗いているだけで楽しい。お昼にベトナム料理を食べて、バスで戻って来た。遠足に出た小学生の気分。明日は出立なので早めに休むことにする。
■2001.6.3
知り合いのカナダ人の家に招かれて昼食会。海の見えるマンションは余分なものがなくてきれいに片付けられていた。窓からは岬が見える。昼食後、教会で開かれているコンサートに出かける。六月から毎週日曜日に演奏会が開かれていて、今日はモーツアルトの五重奏。異国の地で聴くバッハやモーツアルトは涙が出るくらい美しい。緑の木陰の中にある教会は厳かというよりは清潔でシンプルだった。夜は塩シャケに冷や奴、茄子の味噌和え、味噌汁という純和風メニュー。昨日固まらなかった抹茶ゼリーにホイップクリームを載せていただくと美味。散歩に出たら隣の庭に見なれない彫刻があって、よく見ると薄茶色の野うさぎ。白いしっぽを丸めて跳ねて行った。
■2001.6.2
朝食後、ブッチャートガーデンに行く。小雨が降っているが、庭園見学なので雨もまた楽しい。夜、お客さまを招いているので午後は準備をした。ちらし寿司を可愛らしく皿に盛り、真ん中に小海老を載せる。ピアノ、フルート、バイオリンの演奏の後で、ワインで乾杯。コースの始まりは、アスパラガスのクリームスープ、メインはサーモン・ムースとポテトグラタン載せ、野菜サラダとチーズ。デザートは文明堂の抹茶カステラにホイップクリーム掛け。海外を旅されているお客さまなので、話題も楽しい。十時過ぎに解散してみな家路に着く。心地よい疲労で眠りにつく。
■2001.6.1
昨日の夜、頑張って九時過ぎまで起きていたので、時差ぼけはない。朝食は、ブルーベリーの載ったワッフルにメープルシロップをたっぷりとかけていただく。外は霧雨が降っていて肌寒い。車で市内観光に出かける。森があり、農園があり、また海辺の町がある。市街地(ダウンタウン)には有名なエンプレスホテルがあって、ここのアフタヌーンティーは観光客人気だと聞く。お昼からブック倶楽部と誕生祝いを兼ねた集会があり、連れられて行く。カナダの人々は英語を話す。イギリス式の発音で分かりやすい。夜は、鯛に似た魚を酒蒸しにしていただく。豪勢な食事と、森の中の家で過ごす夕べは最高だ。
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