1977年ロンドン留学日記のあとがき
二十年も前に封印されたあった物語を、開けることは勇気がちょっぴり要ります。自分がなぜいまここにいるのかと、だれでも考えると思いますが、毎日の生活をただなんとなく過ごしていると、そんなことを忘れてしまうものです。自分の考えや物の見方というのは、だれかしらの影響を受けているものなのですね。わたしが今もなお、ヨーロッパ、とくにイタリアに強く引かれるのは、ロンドンで出会ったイタリア人の友だちに助けられたことが起因しているようです。一生の中でのほんの短いひとときを過ごしただけなのに、生涯忘れられない人がいます。だから、いつも出会いを怖がらないようにと自分に言い聞かせています。いつでも自分の感性を信じて、自信をもって生きていれば、楽しいことが向こうからやってくるのです。ここで出会った友だちと、また、世界のどこかで巡り合えると今でも信じて、旅にでるのです。読んでくださって、ほんとうにありがとう。
1998.1.17