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▲1977年留学日記にもどる
1977年10月
10/1/77 SAT

まったくこんな馬鹿な話があるだろうか。King's Roadに移って、バスの便がいいからどこにいっても大丈夫だと自信をもっていたら、門限があって1.00amだということを忘れていた。パーティの途中でそれを思い出したがシンデレラである。同じクラスのアルニがWomen's Hostelにいるので、泊めてもらうことになった。ふたりでシェアしている部屋なのだが、相手の女の子は金曜の夜帰って来たことないから平気よという。ちょっとすさまじいところ。横になったものの、朝の四時まで時計をながめていた。Belsize Parkから31番のバスが走っていたので、少しは救われた。久しぶりに今日は寝て過ごす。ここは気持ちの良い部屋だと思う。


10/6/77 THU

ふとノートを整理していて、わたしの幸福な日々を思い出してしまった。マイクのクラスにいて、トニ−のレッスンをエルハートとならんで受けていた頃。あんないいクラスはなかったです。トニ−の教え方も最高だったし、先生と生徒が大きな家族のようだった。いまは学校の方もまるで変わってしまった。わたしの先生はa とthe の使い方がでたらめだと叱ってばかりいる。


10/8/77 SAT

新聞社の支局に出かけていくと、見かけない方がやってきて、ひとしきり話して帰っていきました。通信社の方です。ものの言い方に色気があって、たいへん魅力的な方でした。ロンドンにきて、日本の男がいちばんいいと悟ったのです。ちょっとおかしな話。たぶんわたしは国際結婚はしないと思います。なんとなく日本食が食べたくなって"友"にひとりで出かけました。もう自分の台所はないし、人を招いてパーティするのもできないのだと思うと、ちょっぴり寂しい気がします。


10/17/77 MON

新しい友だちが四人も入ってきて、ぼんやりしていられなくなった。いそがしくて、眠る暇もないほどだと一日が飛ぶように過ぎていく。すごく元気なときとそうでないときが交互に襲って来るのです。


10/18/77 TUE

二時間だけの眠りが芸術家にとって理想的な一日になるのだとウンベルトは言っていたけれど、わたしにはそれを毎日続けるだけの体力がないわ。意識は醒めていても体は熱っぽく、まるで頭をもたずに歩いているような感じ。10/30からのイタリア旅行を予約したから、あと十日頑張ればいいのだ。きょう素敵なパプを見つけた。お昼が70Pくらいで食べられる。学校の食堂に並ぶのはうんざりだから。こんなに近くにあるのに弟のいるとき知らなかったのだからおかしい。あの子には情報不足で本当に気の毒なことをしたと思う。来年、学校でヨーロッパ建築ツアーがあるから、そのとき楽しんだらいいと思う。



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