1974.3.31
■お天気がよいので、Battersea Park(バッターシー・パーク)で日光浴です。

ロンドンはいたるところに公園があって、緑の芝生の上にごろりとなって、日光浴ができます。人も多くないので、心地よい風を頬に感じて、幸せな気分に浸っています。わたしは、池のまえに陣取り、それはちょっと上野の忍ばずの池に似ていて、おしどりやがちょうが泳いでいます。これから先、わたしの人生の中で、こんな休日を過ごすことができるのだろうかと、真剣に考えたりしています。このところ、ロックから遠離っていましたが、今夜は Queen のコンサートがあります。


1974.4.1
■毎日遊んでいたら、もう四月。今日はエイプリール・フールじやないですか。

ひとり旅のさみしさ。冗談をいって騙すような相手がいません。King's Road にある habit (フランス系の家具・生活用品の店) に出かけて、家具や敷物を見ていました。ananにも書かれてあったけれど、センスのよい品ばかりで、見ているだけでインテリアの勉強になる。畳に絨毯をひいて、洋風な暮らしているわたしたちには、驚くことばかり。バネでとめるガラス製のジャム入れを買って、日本からもってきた梅干しを入れたところ、妙に落ち着いてふしぎ。


1974.4.2
■マーキーの近くのイタリアン・レストランはミラノ風カツレツが美味です。

おかしいのは、前菜にスープか、スパゲティを選ぶのです。カツレツはveal (生後6ヶ月未満の子牛の肉)を使っているので、柔らかくておいしい。その後、ミラノで食べたものと遜色なかったから、やはりここは本格的なイタリアン・レストランだったのです。(96年にいったとは、マーキーも変わってしまい、みつけられなかった)ひとりでいて、寂しくなるとここに通っていました。店の人が、優しくて、いろいろと料理のことを教えてくれるので、居心地がよい店でした。


1974.4.3
■日本から友だちがくるので、支度におわれています。

一年間の留学で、フォークストンに滞在します。学校がはじまるまでの二週間、ロンドンでいっしょに過ごすことになっています。取りあえず、わたしのいる三人部屋に入ってもらうつもりです。いまは、この部屋にイランの女の子とふたりで暮らしているのですが、友だちが来ることもあって、その人は別の部屋に移動してくれました。とても気立てのいい人で、わたしはずいぶん生活面でお世話になりました。友だちがきたら、まずどこに連れていこうかと、いろいろ計画を立てています。もちろん、ロックコンサートには行く予定です。


1974.4.4
■ロンドン動物園のあるリージェント・パークに行ってきました。

バスを乗り継ぎ、動物園の前で降りるのですが、それからかなり歩きます。なかは本当に広くて、迷ってしまいそう。家族連れもたくさんいて、日本と替わりありませんが、みんな観光客なので、安心して写真が取れます。写真といえば、わたしは、よく見知らぬ人から写真のシャッターを押してくれと頼まれます。ぶれても知らないよと思いながら、取ってあげるのですが、内心はどきどきしています。


1974.4.5
■日本人の女の人が、このホステルにやってきました。

その方とは、ふしぎな縁でつながっているようです。わたしのことをここに紹介してくれた日本人(スーツケースを預かっている人たち)がスペインで、この日本の女性と知り合って、ここを紹介してくれたのだそうです。少しおしゃべりしただけで、気持ちがぴったりするので、さっそく仲良しになりました。その後、この方にお世話になって、一年間の留学時代、よく遊びに行ったものです。人との出会いは、ほんとうに偶然で、神様が授けてくれたような気がします。わたしたちは、長い外国生活の後で、日本語が自在に使える気安さも手伝って、たくさんの打ち明け話をしました。ほんの数日間で何年分かの交流をして、心の中までシェアしたのです。


1974.4.6
■Fulham Road は King's Road の一本北側にあります。

そこには、可愛いブティックや、本屋さん、レストランなどが飛び飛びにあって、King's Road ほど有名ではないのですか、すてきな通りです。ちょっとお洒落して、ウインドーショッピングもまた、楽しい。ここで花柄の小物入れを買いました。生地屋さんが、何軒かあって、欲しくなるものばかり置いてあります。