URIAH HEEP  [LOOK AT YOURSELF]

ずっと頭の中にひとつのメロディが回っていた。
look at yourself, just look at yourself.
YES でもないし、Deep Purple でもないし、誰が歌ったのかも忘れていた。ただ、アルバムの日本語題名が《対自核》といい、そのアルバムにはアルミ泊が張ってあって、銀色に輝く表紙に自分の顔が写る仕掛けになっていた。ユーライヤ・ヒープというグループがいるのは覚えていたが、それがこのアルバムだと長いこと気付かずにいた。今日、ようやくそのCDを手に入れ、聞いたみた。最初の10秒くらいですべてを思い出した。彼らはブリティシュ・ハード・ロックだったのである。プログレとか、ハードロックとかは、後になって勝手に付けた分類であって、当時の発表されるアルバムを自然に聞いていたものにとって、そんなわけ方は意味を持たない。ひとつのアルバムの中に思い出が込められていて、音楽が記憶を解凍してくれる。怖いくらいに昔のことを思い出すのだ。友だちと長電話した夜とか、何も書いていないノートとか、好きだった人の後ろ姿とか。