FACES [A nod is as good as a wink...To a blind horse]
馬の耳に念仏
Facesといえば、ロッド・スチュワートがいて、ロン・ヴッドがいて、ロニ−・レインがいて、それは豪華なバンドだった。"馬の耳に念仏"なんておよそロックらしくない邦題が付けられているが、これは71年当時大ヒットした最高傑作のひとつ。ひとつひとつの曲が中身がいっぱいで、聴いているだけでマイクを握って、おどりだしたくなる楽しさがある。
ロッドといえば、女優と浮き名をながしたり、帽子ひとつ付けただけのヌードを発表したりと、ひと味ちがったエンターテインナだった。わたしは74年にロンドンでロッドとロンに会っている。レインボーシアターでTen Years Afterのコンサートがあって、そこにふたりが来ていた。わたしは、とっさのことで持っていた青いボールペンでワンピースの襟にサインしてもらったが、まわりのイギリス人も羨ましそうだった。本物はよく笑うきさくなミュージシャンだった。ふたりは仲良しでいいコンビだったと思う。