EAGLES [Hotel California]
この曲を初めて聴いたとき、ロンドンで語学学校に通っていた。町中がいっせいに Welcome to the Hotel California と歌っていたとき、わたしは、人と出会って、新しい世界を知った。扉の向こうに待っている新しい暮らしにどきどきしながら、ロンドンでの学生生活を楽しんでいた。
帰国してから、初めて歌詞を訳して、難解な言葉の裏に潜んでいる愛のしるしを発見する。だから、あんなに心地よく感じたのだ。ハイドパーク・コーナーを曲がって、ナイツブリッジに向かう19番のバスの中で、たぶん熱烈に愛を欲していたのだと思う。それから数年後、このアルバムの舞台となった、ビバリーヒルズのホテル・ウィルシャーを訪れたとき、溢れる光の中で、うずくまった影を見た。まるで、そこにずっと人が座っていたかのようなソファの窪みをみて、この曲の歌詞がよみがえってきた。